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第8回:設備の管理レベルについて

第8回:設備の管理レベルについて

第7回までのメルマガにて、CMMS/EAMの概要や導入時の留意点について説明しました。 第8回以降は、CMMS/EAMを構成する機能や課題について順次スポットを当てて検討したいと思います。 機能編の第1回目は、CMMS/EAMの導入時に、初期の段階で問題となる 「CMMS/EAM内で設備をどのレベルで管理するか」を検討します。
2010-08-17

1.設備台帳の管理レベル

CMMSやEAMで設備管理を行う場合、保守・点検業務やメンテナンス業務の対象を 明確にするために設備を台帳管理します。 これを設備台帳や資産台帳(以後、設備台帳と記す)と呼びます。

CMMSやEAMの導入に際して、『設備台帳に登録する設備は、どのレベル(粒度)で登録すべきか』を 明確にしておく必要があります。

基本は、メンテナンスおよび管理の最小単位で登録します。
例えば、回転機が存在し、この回転機のメンテナンスを外部企業に委託している場合、 設備台帳に登録する設備の最小粒度は、回転機です。

しかし、点検や検査をメンテナンス部門で実施している、 または、結果を管理している場合、回転機の検査部位または保全部位まで識別できるよう、 登録すべきです。
例えば、回転機を電動機、軸受、ギヤボックスや据付のように サブコンポーネントに分解して管理することが考えられます。

設備の管理レベル クリックして拡大表示

図1  設備の管理レベル


また、ベンダーが、製品出荷後に点検・保守サービスの提供や 品質管理を実施している場合は、部品レベルで識別できると、 後々の故障分析に有用な情報が蓄積できます。
予備品戦略に展開する場合は、取替可能部品(LRU)を明確にしておく必要があります。

更に、トレーサビリティを管理する必要がある場合は、 設備台帳やイベント(作業や移動)管理にて固体の保守・点検履歴の蓄積と 所在を明確にする必要があります。

メンテナンスの計画や実施などの運用面から考えると、 設備のロケーション階層や構造的な階層(構成)だけでは、 対象の特定が困難になります。
例えば、配管は、ロケーション階層を串刺しして表現する必要があります。 また、電気・計装類は、ループや系統単位で扱えたほうが、扱いやすくなります。

メンテナンス技術の観点から考えると、対象を特定するためには、 構造的なロケーションや階層と共に、機能的なグループ(機能ロケーション)を 扱える必要があります。 機能的なグループは、系統システム、系、または、システムとして表現され、 損傷や故障要因をグループ化するという側面があります。

2.メンテナンス計画

以下に、メンテナンスを実施する場合の階層構造の捉え方を示します。

まず、ロケーションや構成の階層構造を示します。

設備階層(詳細) クリックして拡大表示

図2  設備階層(詳細)


上図で、制御PC A-01は、製造番号(S/N)を管理しています。 すなわち、固体を管理しています。固体を管理するためには、設備台帳を利用します。

これに対して、制御PC B-01のように、トレーサビリティの確立は、必要ないが、 メンテナンスの履歴を残したい場合は、構成品目(BOM)管理を利用することで可能となります。 予備品管理機能がこれに相当します。

メンテナンスを計画、実施する場合は、上記階層構造を持った設備に対して、 計画や実施者は、以下のとおり捉えます。

メンテナンス業務の計画および実施 クリックして拡大表示

図3  メンテナンス業務の計画および実施


3.設備台帳における問題点および課題

上図の例で、メンテナンスの対象は、制御PC(コンポーネント)となっていますが、 実際には、制御PCのファンやメモリー(サブコンポーネントや部品)が対象です。
ここで、『サブコンポーネント以下を設備台帳に載せるか否か (どのレベルまでを管理するか)』が問題となります。

上図の例では、対象がPCであるので、簡単ですが、 これが、熱交換器、ボイラー、タービンなど複雑なものになると、 簡単には、決められなくなり、最終的に決定した階層構造には、 企業のメンテナンスに対する考え方が反映されます。

設備のパフォーマンスや信頼性向上を目的として、 詳細な履歴を残す必要がある場合は、 サブコンポーネント以下を識別できるよう管理する必要があります。
識別できるように管理する方法として、 『設備台帳でサブコンポーネント以下まで管理するのか』、 それとも、『コンポーネントまでを設備台帳で管理し、 サブコンポーネント以下を予備品(構成)管理で実施するか』は、 CMMSやEAMの機能によります。

ここで、留意すべきこととして、以下を検討する必要があります。

4.まとめ

今回のメルマガでは、CMMSやEAMの導入初期の段階で問題となる設備を どのレベルで管理するかについて、検討しました。

設備台帳は、現実の世界を反映したものが望ましいですが、 運用の観点からは、『どうあるべきか』、『どのレベルまで管理するか』、 そして、『それは、実施(管理)可能か』、または、『どこまで許容するか』を検討し、 管理レベルを決定する必要があります。