Reliability Workbench
Reliability Workbench (RWB)
は、信頼性およびメンテナンス技術者のための信頼性工学に基づいたツールであり、
信頼性・アベイラビリティ・保全性および安全性を管理・分析するためのソフトウェアです。開発元の
isograph 社
の主力製品であり、35 年間に及ぶ機能拡張がなされてきました。
信頼度予測モデルによる故障レートの設定を始め、豊富な機能群と直感的なユーザ・インターフェースを備えています。
主な特徴
- 信頼度予測モデルを用いた故障率の予測
- メンテナンスタスクの定義と保守性予測 (MTTR
の計算)
- 故障モードと影響および致命度解析 (FMECA)
- 信頼性ブロック図 (RBD)
分析によるシステムの信頼度やアベイラビリティの予測
- 故障ツリー分析 (FTA)
- イベントツリーから影響度や発生頻度の計算と分析 (ETA)
- 依存関係の強いサブシステムの信頼度やアベイラビリティの計算と分析 (Markov)
- 信頼度成長モデルによる製品試験や負荷試験結果予測に対する支援(Reliability Growth)
- 故障情報をワイブル近似することで、故障率を確率論的に扱うことが可能(Weibull)
- 信頼度配分機能ぼ搭載 (Allocation)
- 使いやすい故障モデル定義
- IEC61508(機能安全)支援機能を搭載(ISO26262検討支援ツールとしての活用実績あり)
- 機能安全パラメータは、ISO26262用 ASIL配分、自己診断率パラメータとして利用できます。
- RDF-2000-IEC TR62380ハンドブックの利用により、ミッションプロファイルの設定が可能です。
- 信頼性ブロック図、フォルトツリー、イベントツリー分析間での故障モデルの共有が可能
- ユーザライブラリー機能により、評価メンバー間や社内で評価結果やその構成モデル、故障モデルの共有化、標準化が可能
- エンタープライズシステム機能によるプロジェクトの管理とファイルの版管理(オプション)
- 故障情報を持った部品ライブラリーの提供(オプション)
- 多数の標準帳票と帳票の作成やカスタマイズ機能を同梱(PDFやWORD等への出力も可能)
Prediction : 信頼度予測モデル
Prediction モジュールは、故障率の予測および保守性の計算 (MTTR の算出) を支援します。
故障率は、各種信頼性ハンドブックを基にした信頼度予測モデルの利用が可能です。
MTTR の計算は、サブシステムやシステムレベルでのメンテナンスタスクを定義することで可能となります。
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 MIL-HDBK-217 温度-故障率 グラフ例 (クリックで拡大)
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利用可能な信頼度予測モデルは以下の通りです。
モデル名称 |
規格または団体名 |
適用分野 |
MIL-HDBK-217 |
US Department of Defense standard |
電子機器 |
217-Plus |
RIAC (Reliability Information Analysis Center) |
電子機器 |
Telcordia SR-332 |
Bell Laboratories Bellcore standard |
商用電子機器 |
NSWC-98 |
US Naval Surface Warfare Center standard |
メカニカル |
RDF-2000-IEC TR 62380 |
International Electrotechnical Commision |
電子部品 |
GJB/Z 299B,299C |
Chinese standard |
電子機器 |
SN29500 |
Siemens |
電子部品 |
また、オプションで部品の故障ライブラリーの利用が可能です。
利用可能なライブラリーは、以下のとおりです。
ライブラリー名称 |
団体名 |
内容 |
Electric Parts Library |
Isograph社 |
90,000電子部品 |
NPRD-2011 |
RIAC:Reliability Information Analysis Center |
メカニカルコンポーネント |
IAEA-TECDOC-508 |
IAEA:International Atomic Energy Agency |
コンポーネント信頼性情報 |
- NPRD-2011:Nonelectric Parts Reliability Data 2011
- IAEA-TECDOC-508:SURVEY OF RANGES OF COMPONENT RELIABILITY DATA FOR USE IN PROBABILISTIC SAFETY ASSESSMENT
信頼度予測モジュールの主要機能
- 信頼度予測ハンドブックを用いた信頼度予測の支援
- ツリー形式によるシステム、コンポーネント、サブコンポーネントの表現
- BOMのインポートが可能
- ミッションプロファイルの設定が可能
- ディレーティング定義とオーバーストレス部品のリストアップ
FMECA/FMEA/FMEDA : 故障モードと影響および致命度解析、他
 FMECA モジュール (クリックで拡大)
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FMECA モジュールは MIL-STD-1629A, BS 5760 Part 5, GJB 1391-92, AIAG
FMEA 3, SAE J1739, ARP5580 様式のFMECAレポートを作成できます。
また、必要に応じてユーザが様式をカスタマイズできます。
FMECAモジュールの主要機能
- 故障モードと影響に関する分析 (Failure Mode and Effects Analysis)を支援
- RPN(Risk Priority Number)とアクション実施後のRPN計算
- IEC61508(機能安全)パラメータの考慮
- 致命度(Criticallity)分析支援
- 故障率配分テーブル管理
- EXCELやCSV形式のFMEAシートのインポート
- EXCELやCSV形式でFMEAシートのエクスポート
RPN(リスクプライオリティナンバー)設定用故障モード属性設定ダイアログ
 故障モードへのRPN因子設定
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機能安全向パラメータをFMEA項目に含めた例(Daingerous Coverage FMEA)、
危険側故障率、自己診断率、安全側故障率、検出不可能な危険側故障率、
検出可能な安全側故障率、検出可能な危険側故障率などの表示調整や、項目の追加削除が可能です。
 Daingerous Coverage FMEA(クリックで拡大)
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機能安全向パラメータ設定用故障モード属性設定ダイアログ
 故障モードへの自己診断率パラメータ設定
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Reliability Block Diagram (RBD) : 信頼性ブロック図

RDB モジュール (クリックで拡大)
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RBD モジュールは、コンポーネントやサブシステムの故障がシステムにどの様な影響を与えるかをモデル化するためのものです。
システムの信頼度、アベイラビリティの予測を支援します。
信頼性ブロック図分析モジュールの主要機能
- 信頼性ブロックダイアグラムによるシステムの信頼性分析を支援
- カットセット、最小カットセットの計算
- 感度解析:リスク低減価値、リスク増加価値の計算
- ブロックの階層化
- m/n冗長の扱い可能(Vote Number)
- 信頼度予測モジュールの構成をRBDへ展開可能
- FMECAモジュールの構成をRBDへ展開可能
- RBDをフォルトツリーへ展開可能
- 故障率として他のモジュール(例えば信頼度予測)の部品を指定可能
- 階層表示、ブロック図、一覧が連携しているため、直感的な操作が可能
- パラメータの調整は、ブロック図、一覧表上のいずれからでも可能
- 強力かつ使いやすい故障モデル作成機能(FTA,ETAで共有可能)
- IEC61508(機能安全)パラメータの考慮
FaultTree : フォルトツリー分析

FaultTree モジュール (クリックで拡大)
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コンポーネントやサブシステムの故障とシステム故障の論理的な関係付けを行い、故障分析やハザード分析を行います。
フォルトツリー(FT)分析モジュールの主要機能
- フォルトツリーによるシステムの信頼性分析や安全性分析を支援
- カットセット、最小カットセットの計算
- コンシーケンスに対するカットセット、最小カットセットの計算
- 感度解析:リスク低減価値、リスク増加価値の計算
- ゲートの階層化(任意の箇所で、任意にページング/展開が可能)
- m/n冗長の扱い可能(Vote Number)
- シーケンス(ゲート配下のイベント発生順序)設定が可能
- 信頼度予測モジュールの構成をFTへ展開可能
- FMECAモジュールの構成をFTへ展開可能
- 信頼性ブロック図をFTへ展開可能
- 故障率として他のモジュール(例えば信頼度予測)の部品を指定可能
- 階層表示、ブロック図、一覧が連携しているため、直感的な操作が可能
- パラメータの調整は、ブロック図、一覧表上のいずれからでも可能
- 強力かつ使いやすい故障モデル作成機能(FTA,ETAで共有可能)
- IEC61508(機能安全)パラメータの考慮
- 頂上ゲートにSIL配分設定可能
自己診断率をフォルトツリー上で考慮する場合の例(一部)

Diagonostic Coverageの考慮例 (クリックで拡大)
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EventTree : イベントツリー分析

EventTree モジュール (クリックで拡大)
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危険な事象に引き続いて発生する事象のツリーを樹形図を用いて分析し、影響度と発生頻度を求めます。
イベントツリー(ET)分析モジュールの主要機能
- イベントツリーによるハザードや安全性分析を支援
- コンシーケンス、発生確率の計算
- カットセット、最小カットセットの計算
- コンシーケンスに対するカットセット、最小カットセットの計算
- 感度解析:リスク低減価値、リスク増加価値の計算
- プライマリーイベントツリー、セカンダリーイベントツリーの連携可能
- 分岐確率としてフォルトツリーのゲートやイベントの設定が可能
- ツリーの任意箇所にページ設定(指定した箇所より下位階層を別ページで表示)が可能
- 階層表示、イベントツリー、一覧が連携しているため、直感的な操作が可能
- パラメータの調整は、イベントツリー図、一覧表上のいずれからでも可能
Markov : マルコフ分析

マルコフ分析 状態遷移図の例 (クリックで拡大)
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依存関係の強いコンポーネントで構成されたサブシステムの信頼性およびアベイラビリティを、状態遷移図を用いて(設定して)計算します。
待機系をもつシステム不稼働率、共通の保守要員や予備品 (汎用品) の限界数の計算などに使われます。
イベントツリー(ET)分析モジュールの主要機能
- 故障状態を明示し、他のモジュールで値を参照化
Reliability Growth : 信頼度成長モデル

信頼度成長モデル (クリックで拡大)
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試験時の故障情報を元に信頼度成長予測を支援します。
信頼度成長モデルモジュールの主要機能
- 近似モデルは、以下から選択
Power Low、Power Low(grouped failure)、Crow Discrete(Power Low for discrete data)
- 計算オプションとして有意水準(80%水準など)の指定が可能
- 累積故障数の算出
- 故障強度(故障停止時間合計/負荷時間)の算出
- MTTFの算出
Weibull Analysis : ワイブル分析

ワイブル分析 (クリックで拡大)
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故障情報を元にワイブル近似を行います。結果は、他モジュールの故障率として参照が可能です。
ワイブル分析モジュールの主要機能
- ワイブル近似結果(β、η、γ)をFMECA、RBD、FTA、ETAの故障モデルで参照可能
- 1、2、3パラメータワイブル近似が可能
- 故障情報が極端に少ない場合、ワイベイズモデルによる近似が可能
- 故障情報のインポートが可能
- B10などのBxライフ計算
Reliability Allocation : 信頼度配分

信頼度配分 (クリックで拡大)
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対象システムに対して、信頼性目標を配分します。
信頼度配分モジュールの主要機能
- 6方式の配分モデルを搭載
- 配分モデルの方式により、制約(コスト、重量、容積)条件の付与が可能
- コンポーネント、サブコンポーネントに対して、信頼性またはMTTF目標を配分