混相流とは?基本的な考え方からシミュレーションの手法まで解説します!

製造工程や自然現象における流れでは、気体、液体、固体が単独で存在することは非常に稀です。 気泡を含む水、空気で輸送される粉、粒子が混ざった液体のように、同じ領域に複数の相が混ざり合い、 相の間で運動量、熱、物質量などを交換する現象が発生します。このような流れは混相流と呼ばれます。

本稿では、混相流の基本、二相流・三相流の位置づけ、二相流の種類、シミュレーションで用いられるモデルの考え方などを紹介します。

混相流とは

液体相と固体相が同じ領域に存在する混相流の概念図

混相流の基本

混相流とは、気体、液体、固体の複数の相が混ざり合い、それぞれが時間的・空間的に分布を変えながら移動する流れを指します。 各相は密度、粘性、濃度などの状態が異なるため、一つの相からなる単相流とは異なる現象を示します。

混相流シミュレーションでは、各相の移流・拡散に加えて、相の間で作用する流体力、圧力勾配や浮力、粒子や液滴の衝突・合体・分裂や、壁面との衝突・跳ね返りなどの考慮が必要となることがあります。 速度場や圧力場に加えて、各相の体積分率・濃度なども解析対象となります。

混相流が現れる代表的な例

混相流は、気泡を含む液体、噴霧、流動層、粉体混合(粉体混合の均一化はシミュレーションで!)、 粉体の空気輸送、スラリー輸送、攪拌槽、固液分離、ろ過、浸透、洗浄、コーティングなど、多くの装置・工程で発生します。 実験だけでは装置内部の粉体や流体の挙動を把握することが困難な場合が多いですが、シミュレーションを活用することで、装置内部の現象把握や条件比較などが行いやすくなります。

混相流の種類

二相流と三相流を混相流の分類として整理した関係図

二相流とは

二相流とは、2つの相が混ざり合う流れを表し、気体と液体が混ざり合う気液二相流、固体と液体が混ざり合う固液二相流、固体と気体が混ざり合う固気二相流が挙げられます。 水と油のように、どちらも液体ですが互いに界面張力が働くため、溶けずに混ざり合う流れは液液二相流と呼ばれます。

三相流とは

固体、気体、液体の三つの相が混ざり合う流れは、固気液三相流と呼ばれます。 たとえば気泡を含むスラリーでは、気体、液体、固体の分布と、相の間の相互作用を同時に考える必要があります。 扱う相の数が増えるほど、凝集や合一、分散、浸透や浮遊などの現象が複合的になるため、解析対象に内在する相互作用のうち、支配的な要素を抽出しモデル化の範囲を明確にすることが重要となります。

解析モデルを考える際は、解析対象を二相流として扱えるか、三相流まで考える必要があるかを判断します。 このことは、必要な支配方程式の数、相の間の相互作用のモデル化や構成方程式、計算の精度と難易度、計算コストに大きく影響します。

二相流の主な種類

気液二相流、固液二相流、固気二相流の違いを示す比較図

気液二相流

気体と液体が混ざり合う流れです。
気泡混じりの水の流れ、噴霧や沸騰といった形態を示し、ボイラーやエアコン、シャワーなどが該当します。

固液二相流

液体と固体が混ざり合う流れです。
液中に粒子が分散した流れ、浸透や懸濁といった形態を見せ、撹拌槽やスラリー輸送、氷水、河川流などが当てはまります。

固気二相流

気体と固体が混ざり合う流れです。
空気中に粒子が浮遊した流れ、粉じん、噴煙といった様相を表し、粉体の空気輸送、流動層、砂嵐などが該当します。

二相流シミュレーションの計算手法

二相流シミュレーションでは、対象とする混相流の種類、相の間の相互作用、界面の取り扱いや計算コストを考慮して解析手法を選択します。
二相流シミュレーションに用いられる代表的な手法として、計算メッシュを用いて界面を捕捉するオイラー法、連続相には計算メッシュを用い、微小な粒子は個別に追跡するオイラー-ラグランジュ法、液滴や気泡、粉体それぞれを個別に追跡するラグランジュ法があります。

オイラー法、オイラー・ラグランジュ法、ラグランジュ法のモデル化方針を比較する図

Volume of Fluid法: 計算メッシュで界面を捕捉する方法

計算メッシュを場に固定するか、または移動変形する計算メッシュを使って界面を捕捉する代表的な手法として、VOF:Volume of Fluid法があります。 水面や油面といった、計算メッシュで解像出来るほど大きな界面の挙動を解析する際に適しています。

一方で、VOF法は、微細な気泡や液滴を個別に追跡することや、界面が大変形を伴う場合には不向きです。 計算メッシュで解像できない微小な液滴や気泡の挙動、粉体の移動と接触、壁面との衝突を詳細に解析したい場合は、これらの粒子を個別に扱える手法をおすすめします。

オイラー-ラグランジュ法:解析対象の多くを占める相には計算メッシュを使い、微小な気泡や液滴、粉体は個別に追跡する方法

オイラー-ラグランジュ法は、解析対象の内、対象の多くを占める相には計算メッシュを用い、 この計算メッシュの中を移動する気泡や液滴、粉体といった微小な粒子は個別に追跡する手法です。 流体の中を移動する微小な粒子(気泡/液滴/粉体)の挙動を評価しやすく、これらを対象とした二相流解析に適しています。

しかしながら、大きな物体の移動や回転が生じると計算メッシュの移動変形が生じ、移動変形メッシュに特化したプログラミングが必要となること、 また、計算メッシュで解く相にはVOF法やこれに準ずる手法を用いることが多く、いずれの手法も界面の大変形に不向きなことが課題と考えられます。

メッシュフリー法:計算メッシュは不要、気泡も液滴も粉体も、すべて粒子として個別に追跡する方法

メッシュ生成が不要となるメッシュフリー法では、気泡/液滴/粉体を粒子として扱い、これらの相の間の相互作用を考慮しつつ、それぞれの運動を個別に追跡します。

ThreeParticle/CAE では、粉体の挙動は離散要素法(DEM:Discrete Element Method)で解き、気泡や液滴といった流体の運動は数値流体力学(CFD:Computational Fluid Dynamics)における粒子法の一手法であるSPH(SPH:Smoothed Particle Hydrodynamics)で解く、 DEM-CFD連成(DEM-CFD連成とは?)を実装しました。

DEMもSPHもメッシュフリー法の一手法ですので、メッシュ生成に煩うことなく、ガスや液体中において粒子が流体から受ける力、粒子同士の相互作用、粒子の存在が流体に与える影響を考慮した連成解析を実行できます。

粉体の混相流シミュレーションには、DEM-CFD連成解析がおすすめ

粉粒体をDEM、流体をCFDまたはSPHで扱い、相互作用を評価する連成解析の概念図

DEMとは

離散要素法と呼ばれる手法であり、粉粒体を個別の要素として、粒子一つひとつの運動を追跡し、粒子間の接触、付着・凝集力、摩擦といった現象を計算できます。

DEM-CFD連成とは

DEM-CFD連成とは、DEMで粉粒体の接触、付着・凝集力や摩擦を計算し、CFDで流体の速度、圧力、流体の体積分率などを計算する連成解析の手法です。
流体から粉体へは圧力や粘性応力、浮力などが作用し、粒子の存在は速度分布や圧力損失、流路形状に影響します。




二相流シミュレーションでは、解析対象が気液、固液、固気、液液のいずれに該当するか、界面・粒子の形状、気泡や液滴、粉体の挙動をどの程度再現するかによって、適切な解析手法が変わります。

ThreeParticle/CAEでは、粉体はDEMで、流体はメッシュフリー法であるSPHで解き、粉体と流体の挙動の連成解析を同じソフトウェア内で完結して実行可能です。
噴霧、洗浄、スラリー輸送、撹拌槽、流動層、粉体輸送など、粉体と流体の相互作用を利用した産業機械や装置の混相流シミュレーションに役立てられています。

粉体と流体が複雑に作用する混相流シミュレーションをご検討の際は、弊社まで是非ご相談ください!

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解析対象に含まれる物理現象、粒子の形状(複雑形状を含む)、流体の影響度、装置の運動などを整理することで、必要な連成方式や計算規模を明確にできます。 ThreeParticle/CAEの適用可能性や解析方法について、弊社までお気軽にご相談ください。

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DEM-CFD連成の仕組みを示す図

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