DEM-CFD連成とは?仕組み・活用事例・ソフトの選び方まで解説します!

粉体や粒状体の挙動は、空気・水・油など周囲の流体から大きな影響を受けます。

たとえば、粉体が気流によって舞い上がる現象や、液体中で粒子が沈降する現象、 スラリーが配管内を流動する現象では、粒子同士の接触だけでなく、周囲の流体の流れも同時に考慮する必要があります。

こうした「粒子」と「流体」が相互に影響し合う現象を解析するために用いられるのが、DEM-CFD連成解析です。

本記事では、DEM-CFD連成の基本的な仕組みから、代表的な活用事例、ソフトウェア選定のポイントまでを分かりやすく解説します。

DEM-CFD連成とは

DEM-CFD連成とは、離散要素法(DEM: Discrete Element Method) と 数値流体力学(CFD: Computational Fluid Dynamics) を組み合わせ、 粒子と流体の挙動を同時に解析する計算手法です。

DEMでは、粒子一つひとつの運動を追跡し、粒子間の接触・変形・摩擦・付着といった現象を計算できます。 一方、CFDでは、流れ場を連続体として流体の流速、圧力、温度、濃度などを解析します。 しかしDEM単体では、粒子が流体から受ける抗力や浮力の影響を精密には評価できません。 また、CFD単体では、個々の粒子の衝突や付着といった挙動を精度良く扱うことが困難です。

そこでDEMとCFDを連成させることで、

  • 流体が粒子へ与える力(抗力、浮力など)
  • 粒子が流体へ与える影響(流路・流速変化、圧力損失など)

を相互にやり取りしながら計算できるようになり、粒子と流体が複雑に絡み合う現象を、より現実に近い形で再現・評価することが可能となります。

粉体と流体の相互作用を解析するために、ThreeParticle/CAEではDEMとCFDを連成解析する機能を実装しており、CFDソルバーには、メッシュレス解析手法であるSPH法(Smoothed Particle Hydrodynamics)を採用しました。

ThreeParticle/CAEにおけるDEM-CFD連成とは、

「粒子はDEMで追跡し、流体はCFDで解析する。CFDからDEMへは抗力や浮力などの流体力が作用し、DEMからCFDへは粒子群による流路・流速分布の変化、圧力損失などが影響する」と捉えると理解しやすくなります。

DEMとCFDが担当する計算

DEMが担当すること

DEMでは、個々の粒子の位置、速度、粒子間および壁面との接触力、付着・凝集力、摩擦力などを計算します。 また、壁面摩耗の評価にも対応しています。粉体の混合、撹拌、充填、堆積、分級、粉砕など、 粒子の運動が支配的な現象の解析に適しています。

CFDが担当すること

CFDでは、流体の流速、圧力、密度、温度などを計算します。 ThreeParticle/CAEのSPH法は、空気や水の流れ、渦や乱れの発達・輸送、自由表面流れ、 粒子を迂回する流れなど、複雑な流動現象を扱いやすいことが特長です。

DEMとCFDの役割分担を示す図

DEM-CFD連成の仕組み

ThreeParticle/CAEの連成解析では、粒子と流体を同一時間ステップで計算し、それぞれの結果を逐次反映します。

DEMからCFDへは、粒子の位置、速度、形状などの情報が受け渡されます。 CFDでは、これらの情報をもとに、粒子間を流れる流体の流れ場を計算します。

一方、CFDからDEMへは、流体の圧力、粘性力、浮力などの流体力が作用します。 DEMでは、これらを外力として考慮しながら、粒子同士の衝突、摩擦、接触力、付着・凝集力を計算し、 各粒子の並進・回転運動を解きます。

このような情報交換を時間ステップごとに繰り返すことで、粒子と流体が相互作用する複雑な現象を高精度に再現します。

DEM-CFD連成の仕組みを示す図

一方向連成と双方向連成の違い

一方向連成

一方向連成は、流体が粒子へ与える影響のみを考慮し、粒子が流体へ与える影響は無視する解析手法です。 粒子濃度が低く、粒子が流れ場に与える影響が小さい場合に適しており、比較的短時間で解析を実施できる点が特長です。

双方向連成

双方向連成は、流体が粒子へ与える影響に加え、粒子が流体へ与える影響も相互に考慮する解析手法です。 粒子濃度が高く、粒子の運動による流動抵抗や空隙率の変化、流れの迂回・閉塞現象が重要となる場合に有効であり、 粒子と流体が強く相互作用する現象を高精度に解析できます。

一方向連成と双方向連成の違いを示す図

DEM-CFD連成の活用事例

DEM-CFD連成解析は、粉体・粒状体と液体・気体が相互作用する工程で広く利用されています。 実験では観察が難しい装置内部の流れや粒子の挙動について、解析で得られる速度分布や圧力分布、粒子濃度分布から、 粒子の滞留、堆積位置、閉塞の要因などを可視化できる点が大きな特長となります。

流動層乾燥・造粒

材料下部に熱風を吹き込んで乾燥させる流動層内の乾燥工程を対象として、偏流の発生状況や流動状態、粒子の滞留時間などを評価できます。粒子と気流の相互作用を把握することは、乾燥効率や品質の改善につながります。

空気輸送・粉体搬送

配管やシュート内を移動する粉粒体について、粒子の加速挙動、堆積しやすい場所、摩耗の発生位置、閉塞リスクなどを解析できます。搬送性能の向上や設備トラブルの低減に有効です。

スラリー輸送

液体中に分散した粒子の挙動・濃度、粒子の軌跡を評価できます。また、攪拌時における粒子分散特性や流動特性の把握にも活用されています。

錠剤コーティング

粒子の混合状態や偏析傾向、粒子への液滴付着挙動を解析できます。混合の均一性やコーティング品質の向上に向けた条件の検討に利用されています。

粉体分離・洗浄

気流を利用した粒子の分離や粉体の分級、洗浄機内の粒子・流体の挙動を評価できます。分離性能や洗浄効率の改善、条件の最適化に活用されています。

装置設計・条件最適化

入口・出口形状、流量条件、粒度分布、羽根形状などの違いによる影響を比較・検討できます。試作や実験回数を削減しながら、効率的な装置の設計と運転条件の最適化を進めることが可能です。

DEM-CFD連成ソフトの選び方

DEM-CFD連成ソフトを選定する際は、連成解析機能の有無だけでなく、対象となる物理現象を適切に再現できること、 ならびに解析から結果評価まで効率的に運用できることが重要です。

DEM-CFD連成ソフト選定の流れを示す図
  • ① 対象となる物理現象
    解析対象に含まれる物理現象を考慮できるか確認します。
  • ② 粒子形状
    球形、非球形、複合形状、繊維状、実形状データの取り込みに対応しているか確認します。
  • ③ 粉体のモデル化
    接触力、摩擦、付着・凝集力、摩耗、破砕など、粉体解析に必要なモデルが利用できるか確認します。
  • ④ 流体のモデル化
    気体や液体の流れ、自由表面流れ、高粘性流体、対流熱伝達など、対象に含まれる流体現象に対応しているか確認します。
  • ⑤ 連成方式
    粒子濃度や流体への影響を考慮し、一方向連成または双方向連成を選択します。
  • ⑥ 計算規模
    想定する粒子数や計算領域に対し、CPU・GPU・並列計算性能およびメモリ使用量が適切か確認します。
  • ⑦ 運用性
    解析条件の設定、結果の可視化、解析モデルの再利用などを効率的に行えるか確認します。

Tips

導入前に小規模な検証モデルを作成し、実験結果や既知の現象と比較して妥当性を確認することを推奨しています。

ThreeParticle/CAEが適するケース

ThreeParticle/CAEは、DEMを中心に、複雑な粒子の形状、構造解析との連成、機構との連動、流体との相互作用を統合的に解析したい方に適しています。 粉体・流体・構造・機構との相互作用を考慮した連成解析を一つの環境で実施できるため、解析条件の設定から計算実行、結果評価まで効率的に進めることができます。

特に、粉体搬送、混合、スラリー輸送、洗浄、錠剤コーティングをはじめとした、農業、金属、化学、素材、食品、化学、製造など様々な分野で活用されており、 粒子と流体が相互に作用する工程において、実験では把握が難しい内部の流れや粒子分布を可視化し、装置の設計や運転条件の最適化に役立てられています。

DEM-CFD連成の検討を始める方へ

解析対象に含まれる物理現象、粒子の形状(複雑形状を含む)、流体の影響度、装置の運動などを整理することで、 必要な連成方式や計算規模を明確にできます。ThreeParticle/CAEの適用可能性や解析方法について、お気軽にご相談ください。

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