3次元希薄気体解析ソフトウェア
DSMC-NeutralsとはAbout DSMC-Neutrals
DSMC-Neutrals はモンテカルロ直接法 ( DSMC - Direct Simulation Monte Carlo ) を用いた3次元希薄気体解析ソフトウェアです。
一般的なCAE解析ソフトと同様に非構造メッシュを用いることにより、複雑な形状のシミュレーションにも対応しています。
本ソフトウェアの得意分野は、圧力が低いために流体モデルが適用できない希薄気体(希薄流体)のシミュレーションです。
モンテカルロ法をベースにしたDSMC法は、計算領域内におけるシミュレーション粒子の挙動を実現象に近いモデルで計算するために、
浮力、重力、熱泳動、激しいガス流れ内のナノ粒子挙動などの複雑なガス流れを特別な物理モデルを使用することなく解くことができます。
また、衝突を考慮しない自由分子流領域の計算も可能です。
流体モデルと同様に、アレニウス形式の反応式を用いた化学反応の計算も可能です。 粒子の蒸発・脱離や吸着を扱うことができるため、真空蒸着や化学蒸着等への適用ができます。 また、構造物が移動するターボ分子ポンプ(TMP - Turbo Molecular Pump)による排気シミュレーションや、 ハードディスク上のスライダの挙動計算や狭い流路計算などにも適用可能です。
化学蒸着 ( CVD - Chemical Vapor Deposition )、真空蒸着、 有機EL ( OLED - Organic Light Emitting Diode )、 分子線エピタキシー ( MBE - Molecular Beam Epitaxy ) などの半導体製造における薄膜生成のシミュレーションがあります。 また、コンダクタンスや排気時間などを調べる真空排気シミュレーションなどの実績もあります。 その他の応用分野としては、最近注目されている CIGS ( CIS ) 型太陽電池における成膜 ( CIGS膜 ) シミュレーションや、 アークイオンプレーティング(AIP Arc Ion Plating)のようなプラズマを用いる装置のガス流れの解析等があります。 高圧力の計算としては、ハードディスクのスライダの挙動計算に実績があります。
ソフトウェア構成Package
ソフトウェア | モジュール | 主な特徴 |
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DSMC-Neutrals | 中性ガスソルバー |
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プリプロセッサ |
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ポストプロセッサ |
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並列バージョン |
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解析事例Examples
太陽電池パネルの膜としてCIGS膜やCIS膜などが使われている。
通常、CIGS膜やCIS膜は高真空領域で成膜されることが多く、
このような条件下では、モンテカルロ直接法(DSMC)は大変有効である。
近年、ディスプレイや照明に有機ELが用いられるようになった。
有機ELは高真空領域で成膜されることが多い。通常、有機材料の蒸発セルは比較的圧力が
高く自由分子流として解くと成膜分布を再現できないことが多い。
そのためにDSMC法がとても有効な手法である。
分子線エピタキシーでは高真空下での結晶成長させる真空蒸着法の一つである。チャンバー内が高真空で
あるために流体モデルで解くことは困難であり、DSMC法が有効なシミュレーションの一つである。
DSMC-Neutralsはアレニウス形式の反応データを考慮することができるため、化学反応を考慮した化学蒸着の計算が可能である。
DSMC-Neutralsは非構造メッシュを採用しているために、複雑な形状の計算も可能である。そのためにターボ分子ポンプと繋がっている配管のコンダクタンスなどのシミュレーションができる。
DSMC-Neutralsでは、ドラック力(抵抗力)、熱泳動、重力を同時に考慮することが可能である。
そのために、ダストの挙動計算やダストの影響によるコンタミネーションに関するシミュレーションができる。
熱泳動はリソグラフィーマスクからの微粒子の汚染保護にも活用されている。流体モデルや自由分子流解析ソフトでは解析が難しい熱泳動の計算がDSMC-Neutralsでは可能である。
近年、ハードディスクの媒体とスライダ先端のヘッドの間隔は数[nm]と非常に狭くなっている。一方、ガス流れは激しいために密度勾配が大きく通常の流体解析ソフトでは計算が難しい。DSMC-Neutlralsはこのような圧力が高い計算モデルであったても、計算領域が狭いために短時間で計算結果を得ることができる。
アークイオンプレーティング(AIP)装置内のガス圧力は非常に低い。DSMC-Neutralsはアークイオンプレーティング(AIP)装置内のガス流れの計算が可能である。
人工衛星などが大気圏に突入するときなど、極超音速の物体周りのガス流れの計算が可能である。
チャンバー内など希薄気体(希薄流体)ではノズル付近で衝撃が起こりやすい。 温度差がある物体などに挟まれた領域では、熱電導だけでは温度の伝達ができないために対流が起こる。 |
OLED ( 1 )(クリックで拡大) OLED ( 2 )(クリックで拡大) シャワーヘッド型 CVD ( 1 )(クリックで拡大) シャワーヘッド型 CVD ( 2 )(クリックで拡大) ダスト挙動 ( 1 )(クリックで拡大) ダスト挙動 ( 2 )(クリックで拡大) ハードディスクヘッド(クリックで拡大) 極超音速希薄流(クリックで拡大) 衝撃波(クリックで拡大) ベナール対流(クリックで拡大) |
DSMC-Neutralsを引用した論文Papers
Takao Wada, Journal of Fluid Science and Technology, vol.11, No.3, 00221 (2016)
Takao Wada, J. Appl. Phys. vol.116, 44502 (2014)
Takao Wada and Noriaki Ueda, J. Appl. Phys. vol.113, 154503 (2013)
N. Sugie et. al., J. Photopolym. Sci. Technol. vol.25, 617 (2012)