
磁気ミラー効果の解析
ミラー効果とは?
ミラー磁場を用いて空間中の荷電粒子を制御する方法は、核融合炉、地球磁気圏、質量分析の研究と共に発展してきました。 現在では、粒子加速器のイオン源、成膜・表面処理のプラズマ源、宇宙推進のプラズマ源 等にも応用されている技術です。 理論的には、これは2つの保存量(運動エネルギーと磁気モーメント)から説明される効果であり、 結果として荷電粒子は弱磁場領域内に閉じ込められやすくなります。
コンピュータ・シミュレーションの利点
プラズマプロセスの観点から見ても、磁場によるミラー効果は重要な要素の1つを担います。 その影響を定量的に評価する事には大きな意義があると考えられますが、実験での分析は現実的ではありません。 なぜなら実際のプラズマ装置では、磁場だけでなく電場や粒子間衝突といった要素も複雑に絡み合い、ミラー効果単体での影響を測定する事が困難だからです。 そこで、今回はコンピュータ・シミュレーションによる解析モデルを作成し、磁気ミラー効果の再現を試みました。 実験では再現する事の難しい理想的な系を、コンピュータ上では簡単に作る事ができます。 これはコンピュータ・シミュレーションの大きな長所です。
シミュレーションの概要
ミラー効果を評価するための理想モデルを1つ用意して、そのシミュレーション結果を粒子運動論(古典力学)に基づいて検証しました。 弊社が開発したシミュレータ Particle-PLUS は粒子法を採用していますので、下図に示すような荷電粒子1つの軌道を精密に解析する事が可能です。
様々な初速ベクトルを持つ荷電粒子を多数生成させ、そのうち時間経過で系から損失した粒子を速度空間上へプロットする事で、ロスコーン領域が浮かび上がります。 しかし実際にはそのような手順を踏まずとも、粒子運動論の式からロスコーン領域の予測は可能です。今回はそちらの予測結果と粒子シミュレーションの結果が一致する事も確認しました。
より詳細な解説記事
具体的なシミュレーション手順、理論式、その他の図表、参考文献も含めた、より詳細な解説は次のページに掲載されています。 ご興味がある方は是非ご覧ください。
関連製品
弊社では、粒子法を用いたソフトウェアを開発・販売しております。製品の詳細は以下のリンクからご覧ください。
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