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Particle-in-Cell法(PIC法)によるプラズマシミュレーション

Particle-PLUS は希薄気体中に発生する非平衡プラズマの数値解析に優れたPIC法のシミュレーションソフトウェアであり、 プラズマ、中性ガスの2つモジュールで構成されています。また、プラズマモジュールでは、磁場解析を行うことで マグネトロンプラズマや磁場によって曲がるイオンビームなどの計算も可能です。

これまでの適用事例としてはマグネトロンスパッタリング、PVD、プラズマCVD、プラズマエッチング、容量結合プラズマ ( CCP ) などがあります。 Particle-PLUS は並列計算が可能であり短時間で結果を得ることができます。 出力データとしては、プラズマ密度分布(電子密度、イオン密度)、電子温度分布、イオン温度分布、ポテンシャル分布(電位分布)、 エネルギーフラックス、粒子フラックス 、エネルギースペクトルなどがあります。

外部回路モデルを用いたCCP プラズマシミュレーション

Particle-PLUSでは、外部回路としてπ 型マッチングボックスを考慮したCCPシミュレーションが可能である。 マッチングボックスはCCPデバイスに備え付けられている、インピーダンス整合を行う機器である。 これはプラズマへの電力供給を効率化するための重要な回路であり、またプラズマで生じる大電流から電源装置などを守る役目も果たす。 外部回路モデルでは、プラズマによって回路に流れる電流を考慮することで、より現実的なプラズマの挙動を計算することが可能である。

このシミュレーションでは、(1) キルヒホッフの法則 (2) 表面電荷保存 (3) 電極上におけるガウスの法則 (4) PIC静電モデルによるプラズマの挙動を カップルして毎時間ステップごとに解く。また、Particle-PLUSに組み込まれているマッチグボックスの入力パラメータを以下に示す。

Rin : 電力供給の抵抗値 50 ( Ω )
C : 直列コンデンサの電気容量 0.5 X10-9 ( F )
Cv+Cf : 並列コンデンサの電気容量 0.5x10-9 ( F )
L : コイルのインピーダンス 0.9x10-6 ( H )
電源 Vrf : Vrf = 250sin(ωt) (V), ( これは1.2KWのパワーに相当する)

図1と図2にParticle-PLUSが考慮しているπ 型マッチングボックスと外部回路を考慮したCCPシミュレーションの計算モデルを示す。

Fig.1    マッチングボックスのモデル図

マッチングボックスのモデル図
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Fig.2    π 型マッチングボックス付き CCP モデル

π型マッチングボックス付き CCP モデル
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図3に電極電圧の時間推移を示す。外部回路を考慮していない場合、電圧はsinθにしたがって不自然に急激に立ち上がるが、 外部回路を考慮することで電圧が滑らかに立ち上がり、現実的な電圧変化を再現していることがわかる。 また、50μsを超えたあたりから定常状態に到達し、約-50Vの自己バイアスが掛かっていることが分かる。

図4-6に周期平均の電子密度分布、ポテンシャル分布、電子温度分布を示す。

Fig.3   (a) RF 電極電位の時間推移 (b) 計算初期のRF電極電位の時間推移

(a) RF 電極電位の時間推移  (b) 計算初期のRF電極電位の時間推移
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Fig.4    定常状態におけるRF サイクル平均の電子密度分布

定常状態におけるRF サイクル平均の電子密度分布
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Fig.5    定常状態におけるRF サイクル平均のポテンシャル分布

定常状態におけるRF サイクル平均のポテンシャル分布
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Fig.6    定常状態におけるRF サイクル平均の電子温度分布

定常状態におけるRF サイクル平均の電子温度分布
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関連項目