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概要

LST/QSTを使用した遷移状態探索

化学反応のポテンシャルエネルギー面を探索するには、反応プロセスの各ステップに対する構造的エネルギー的運動的などの情報が必要です。 それらの情報の中で、特に遷移状態を見つけることは重要となっております。
本事例ではMaterials Studioにて、遷移状態探索の手法としてよく知られているLSTとQSTを使用することで解析をしております。

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  • 遷移状態:反応プロセスにおいて、反応物から生成物へと反応する際に通る一番エネルギーが高い状態。
  • LST(Linear Synchronous Transit):反応物と生成物の間を線形補完して反応ポイントを生成することが出来る方法です。
    Materials Studioに実装されているLST法は一般化されており、周期的システムにも適用することが出来ます。
  • QST(Quadratic synchronous transit):LSTと組み合わせることで、遷移状態を見つけることが出来ます。

  • 手法

    計算モデルと手法

    反応物質にはビニルアルコールを、生成物質にはアセトアルデヒドを計算モデルに使用しました。
    また、反応物質と生成物質からLSTを使用して反応経路を線形補完することで、反応経路を作成しました。
    この反応経路とQSTを組み合わせることで、これから遷移状態探索を行います。
    モデルの構造最適化や遷移状態探索には、量子力学計算に幅広い計算対象を取ることが出来るDMol3モジュールを使用しました。

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  • DMol3:分子と固体の両方を扱う量子力学モジュールです。500原子を超える大規模系への適用も可能です (データシート参照)
  • 結果

    求められた物性値の考察

    上に遷移状態解析の流れを示しました。
    まず初めに、LSTで求めた線形的反応経路にQSTを組み合わせることで反応経路を探索し、プロットしています。
    次に、その結果からスペクトルを解析し、虚数振動数のピークについての分子の動きを可視化しています。
    可視化した分子のベクトルを表示させることで、どのような反応経路を辿っているがの理解が容易になります。

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  • 虚数振動数:エネルギーが極小値ではないモードに対応する部分。一般的にこの状態は遷移状態であることを示します。